タマボール大作戦

映画・マンガ・小説・GAME・音楽・日常なんでも勝手に評論してます。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

「SAFE」

ジュリアン

※注)ネタばれしてます

監督は「ベルベット・ゴールドマイン」のトッド・ヘインズ。現代に生きる人達にとって決して他人事ではないけど、でもまぁ人ごとか、みたいな感カの映画。高級住宅街に専業主婦として不自由なく生活するキャサリン(ジュリアン・ムーア)が主人公。彼女は登場したときからどこかしら疲れている。健康に人一倍気を遣って、お酒もドラッグもコーヒーも取らず、ミルクを飲む彼女。なのに彼女の美しいさを曇らす不安が映画の序盤から漂っています。それは、家の模様替えのために買った高級ソファの色が間違えて届いたところから急激に濃厚さを増していきます。トラックの排気ガスでパニック症状をおこしたり、美容院でのパーマとネイルケアで鼻血を出したり、夫のグレッグの整髪料やスプレーに反応して嘔吐したりと、どんどん体調を崩していきます。かかりつけ医に診てもらっても身体に異常はなく、キャロルの不安と比例するように夫の苛立ちもどんどん高まっていきます。そんな感じでうまくいかない夫婦生活の中、化学物質過敏症というアレルギー症状に苦しむ人達に出会い、そして彼女もその症状の持ち主だということがわかります。新聞のインク、新しいソファの素材、化粧品や食品が彼女にある日突然、牙をむいたのでした。そんなある日、いつも使っているクリーニング店が消毒剤を散布している現場に居合わせ、痙攣を起こしながら吐血し、入院することになります。その病院で知った化学物質を全く使わない生活をする非営利のコミューン。彼女はそこに行く決心をするのでした。

あらゆる物質に囲まれ、何も不自由なく裕福に暮らしていたキャロルを突然襲ったこの病気は、物質社会の生活に慣れきったキャロルのアイデンティティの崩壊を招き、新たに目指す土地での再構築を促します。しかし、安住の地を求めてコミューンやってきたキャロルは、常に酸素ボンベを携帯し、鼻にチューブをさして生活し、その表情に明るさは無い。同じ悩みをかかえ、この地にやってきた人達との日々のワークショップでは、発病のきっかけを少しずつ追求して、自分を認め、愛する作業を行っていく。会いに来た夫と息子と抱擁することすら過敏に化学物質に反応してままならない。深く広がる家族との溝。そして少しずつかの地になじみ一員になっていくキャロルに恐怖を覚え、コミューンに建てられた異様な白いドーム型のキャビンと新興宗教の教祖性を孕んだコミューンの代表の存在が、映画の画面にいまだ色濃く不安を残しました。

宗教という言葉はどこにも出てこないです。なのにキャロルが新しく安住の地を求めて訪れたこのコミューンは、私から見れば新興宗教に近い。映画を見終わった後、言葉にするのが難しい気持ち悪さが残りました。キャロルが物質社会に住む家族と身体だけでなく精神的に距離を置き、コミューンに馴染んでいくように、人はこうやってある種の宗教に慣れ、違和感なく染まっていくのではないのかという感覚。それはほんとに恐ろしい。それは宗教を批判しているのではなく、やはり自分の許容範囲外の世界が繰り広げる現象に恐怖したのだと思います。映画自体は、一人の人間のアイデンティティの崩壊と再構築中を通して、物質社会の不安定さ(安全では無いということ)を描いてるとは思いますが…。人の依存性にふれた気味の悪い映画でした。
2005/4/30 ichiko
スポンサーサイト
  1. 2005/04/30(土) 21:41:03|
  2. miwanko_DVD
  3. | コメント:0

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。